Technical - Optics
2005年06月26日

3原色の話

 ご存知の方も多いとは思いますが、光の3原色はRGBすなわち赤、緑、青の3色です。そして、この3色の光を合成することにより白色の光を得ることができます。言い換えれば、3色全ての光が揃ってあるのが白になるわけです。

 それでは、なぜ光の3原色が赤、緑、青の3色なのでしょうか。これは人間の目の仕組みによります。人間の目には赤、緑、青のそれぞれの色の光を検知する視細胞という検知器が3種類あり、この3種類の視細胞によって検知されるそれぞれの色の光の強さを組合せて、色と明るさを認識するのです。

 例えば、明るい黄色の光が目に入ってきたとしましょう。この場合、目の中では明るい赤と明るい緑の光がそれぞれを検知する視細胞により検知されます。そして、明るい緑+明るい赤=明るい黄という具合に色と明るさが認識されるのです。

 このように人は3種類の視細胞に入ってくる光の強さの組合せで色を認識しているため、この3色の光の組合せで認識することのできる全ての色を作り出すことができます。このため、この3色すなわち赤、緑、青が光の3原色となります。

光の3原色と合成される光の色

合成色
×××
××
××
×
××
×紫(マゼンダ)
×水色(シアン)

 ところで、もう1つ3原色とよばれるものがあるのはご存知でしょうか。これは色の3原色とよばれるものでシアン、マゼンダ、黄の3色になります。青、赤、黄の3色を色の3原色とよぶことが多いようです。しかし、実際にプリンタやオフセット印刷などで使用されているインクの色などから見てもわかるように、一般的に色の3原色としてシアン、マゼンダ、黄が使用されています。ちなみに、これらの3原色を混ぜると黒になります。

 なお、色という言葉が光の色を示す言葉でもあり、紛らわしいため、以降の説明では色の3原色という言葉をインクの3原色という言葉に置換えて説明します。

 では、なぜシアン、マゼンダ、黄の3色がインクの3原色となるのでしょうか。これについて考えてみましょう。まず、人が印刷物などのものを見るとき、どのような状態で見るでしょうか。普通、白い光のもとで見ますよね。全く光のない状況でものを見た場合、どんな色のものを見ても、それは黒にしか見えません。これは自らが光を出しているものを見る場合と異なり、周りの光がそのものに当たって反射してくる光を捉えて、そのものの色を見ているからなのです。

 ここで、先ほどの表を見てください。白い光から赤い光を除いたのがシアンの光、緑の光を除いたのがマゼンダの光、青い光を除いたのが黄の光になっています。このこととインクの作用が特定の色の光を吸収し、残りの色の光を反射することであることをあわせて考えると、なぜシアン、マゼンダ、黄の3色がインクの3原色となるのかという問いの答えが出てくるのではないでしょうか。

 シアンのインクはもともとある白い光から赤い光のみを吸収することによって、シアンに見えます。同様にマゼンダのインクは緑の光のみを、黄色のインクは青の光のみをそれぞれ吸収します。そう、インクの3原色は白から光の3原色を引き去っることにより色を作り出すのです。ですから、赤のみの光を吸収するインク、緑のみの光を吸収するインクそして青のみの光を吸収するインクと元となる白い光が存在すれば、全ての色があらわせることになり、これらの3色がインクの3原色となるのです。

 今回の色の話はどうだったでしょう。子供の頃テレビで色と光の3原色の話を見たとき、色と光でなぜ色が違うのか、そもそもなぜ3色なのかと不思議に思ったことを覚えています。そんな不思議を考え直してみるのも結構楽しいものかもしれませんね。

Posted by とのす at 00:49 | Comment (0)
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