ICの発明で知られるJack Kilby氏が亡くなられたそうです。今日は氏にちなみ、ICについてお話をしようと思います。
ところで、ICってなんでしょう。ICは英語で言うとIntegrated Circuit、日本語に直すと集積回路となります。簡単にいうと電子部品で構成した回路をぎゅっと固まりにしたものです。ちょっと分かりにくいですよね。では、ICがどんなものかを知るために、ICの種類について見てみましょう。ICはその構造、構成回路、回路規模にて、それぞれ分類することができます。
構造ではICはモノシリックICとハイブリッドICに分類されます。モノシリックICは1つの半導体基盤上に回路を構成したもの、ハイブリッドICは基板上に複数の電子部品を実装して1つの電子部品としたものです。一般的にICというと、モノシリックICを示します。
次に構成回路で分類すると、TTL(Transistor Transistor Logic)とMOS(Metal Oxide Semiconductor)に分けることができます。さらに、MOSはnMOS(negative MOS)、pMOS(positive MOS)、CMOS(complementary MOS)の3種類に分けることができます。TTLとMOSの違いはトランジスタにより回路が構成されるか、電界効果トランジスタ(FET=Field Effect Transistor)により回路が構成されるかになります。また、TTLはバイポーラ、MOSはユニポーラと呼ばれることもあります。これはTTLの場合、キャリア(半導体の中で電荷を運ぶもの)が正孔と電子の2種類あるのに対して、MOSの場合にはどちらか一方しかキャリアをもたないことに由来します。
最後に回路規模による分類です。一般にICの回路規模は集積する電子部品の数で定義されます。それに従い分類すると、SSI(Small Scale Integration)、MSI(Medium Scale Integration)、LSI(Large Scale Integration)、VLSI(Very Large Scale Integration)、ULSI(Ultra Large Scale Integration)のように分類できます。最近はその上もあるようです。この辺は技術の進歩により、どんどん変わっていくところです。ちなみにSSIでは素子数は~100個程度、ULSIだと1千万個~程度といった回路規模になります。
氏が発明したICはモノシリックのTTLのSSIでした。それは1958年、今から47年前のことです。今になって考えれば回路を1つの基盤上に作るという考えは自然な流れによるものだったのかもしれません。しかし、氏の発明したICが現在の半導体文明の始まる1つのきっかけになったことはまちがいない事実であると思います。
というわけで、たまにはこんな薀蓄をたれてみてはいかがでしょうか。あなたを見る周りの目が変わるかもしれませんよ。いいほうに変わるかどうかは保証の限りではありませんけどね。
Posted by とのす at 2005年06月22日 22:18 | Comment (2)
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